ソブリン・ウエルス・ファンド
ソブリン・ウエルス・ファンドとは
・ソブリン・ウエルス・ファンドは、政府が出資する投資ファンド。
・「Sovereign Wealth Fund」の略がSWF。
大規模なソブリン・ウエルス・ファンド
・アブダビ投資庁(ADIA)
・ノルウェー政府年金基金(GPF)
・中国国家外国為替管理局(SAFE)
・サウジアラビア通貨庁(SAMA)
・中国投資有限責任公司(CIC)
・クウェート投資庁(KIA)
・香港金融管理局(HKMA)
・シンガポール政府投資公社(GIC)
アブダビ投資庁(ADIA)
アブダビ投資庁とは
・アブダビ投資庁は、アラブ首長国連邦の政府系ファンドである。
・ADIAは、「Abu Dhabi Investment Authority」の略。
・1976年設立。
アブダビ投資庁の特徴
・原資はオイルマネー。
・資産運用残高は8750億米ドルで世界最大(2008年1月現在)。
・2007年11月26日にはシティグループに75億ドル出資し、株式の4.9%を保有する筆頭株主になっている。
ノルウェー政府年金基金(GPF-G)
ノルウェー政府年金基金グローバルとは
・「ノルウェー政府年金基金グローバル(オイルファンド)」は、ノルウェー政府のソブリン・ウエルス・ファンド。
・原資は北海油田の石油・ガス収入。
・GPFGは、「Norway’s Government Pension Fund Global」の略。
・1990年設立。
ノルウェー政府年金基金の特徴
・原油収入を定期的に積み立て、世界中の国、セクター、通貨の8,500社以上の株式を保有している。世界の上場企業の全株式のほぼ1.5%を所有。政府や企業への融資の一種である債券に投資している。主要都市と再生可能エネルギーインフラプロジェクトにまたがる900の不動産を所有している。73カ国9,123銘柄に分散投資している。株式73%、債券25%、不動産3%。
・投資対象は米国や欧州の防衛産業が多い。
・投資規定で社会的責任に問題のある企業には投資しない。
・戦争や人権侵害が絡む場面では「ノルウェーが投資するかどうか」という判断そのものが、他国の年金基金や機関投資家の判断材料になる。イスラエル・パレスチナ情勢のように国際世論が分かれるテーマではなおさらだ。
・近年はESG(環境・社会・ガバナンス)投資の広がりとともに、ノルウェーの基準は各国のモデルケースとしても参考にされている。
【引用:岡三証券|世界最大級ファンドはどんな資産運用をしている?】
中国国家外国為替管理局(SAFE)
中国国家外国為替管理局とは
・「中国国家外貨管理局」は、中国人民銀行の管轄にある外貨管理機関。
・SAFEは、「State Administration of Foreign Exchange」の略。
中国国家外貨管理局の特徴
・中国企業の海外投資やQFII(指定国外機関投資家)の中国国内投資に関する認可業務や外国為替取扱指定銀行の許可も行うと共に外貨準備金の管理も行っている。
・外貨準備資産は3兆2000億ドル(約250兆円)。
・2008年、米プライベートエクイティ(注1)大手のTPGが運用するPEファンドへ25億ドル(約2000億円)の投資も行った。
・2012年、不安定な国際金融市場や低水準の利回りといったマイナスの影響を和らげるため、外貨準備の投資先の多様化を推し進めるため、外貨準備金の5%をプライベートエクイティや不動産といったオルタナティブ(注2)資産へ投資・運用する旨を表明した。
・同年、米プライベートエクイティ最大手のブラックストーンが資金募集を行っている100億ドル(約8000億円)超規模の大型不動産ファンドへのBlackstone Real Estate Partners VIIへ5億ドル(約400億円)の投資を決定した。
・同年、米GM(ゼネラル・モーターズ)の企業年金からカーライル、ブラックストーン、 CVCキャピタルなどの運用するプライベート・エクイティファンドの持分を買い取った。
(注1)プライベートエクイティ(PE)は、未公開株式(未上場企業の株式)のこと。未上場企業の株式の取得・引受を行うこと全般を「PE投資」という。一般的には、VC(ベンチャーキャピタル)投資で立上げ期のベンチャー企業への小規模投資、PE投資で成長・成熟期の企業への大規模投資がある。
(注2)オルタナティブ(alternative)は直訳すると「代わりの」「代替の」という意味。オルタナティブ投資は、上場株式や債券といった伝統的資産と呼ばれるもの以外の新しい投資対象や投資手法のこという。農産物・鉱物、不動産等の商品、未公開株や金融技術が駆使された先物、オプション、スワップ等の取引をさす。
サウジアラビア通貨庁(SAMA)
サウジアラビア通貨庁とは
・「サウジアラビア通貨庁」は、1961年に設立され、サウジアラビアの中央銀行としての役割を果たし、国内の金融システムの安定や通貨の価値を維持する重要な機関。
・「SAMA」は、「Saudi Arabian Monetary Authority」の略。
サウジアラビア通貨庁の特徴
・2021年、ホリフィ総裁の解任と新総裁就任を発表した。サウジの政府系ファンド(SWF)、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)の運用資産を2025年までに2倍余りに拡大する意向を明らかにした。
中国投資有限責任公司(CIC)
中国投資有限責任公司とは
・2007年、シンガポールのテマセク・ホールディングスを手本に設立した。
・子会社に中央匯金投資公司を抱えており、そこを通して中央政府派下のすべての国内中央政府系銀行への投資、回収、ガバナンスも担当している。
・米国債に偏っていた外貨準備の運用多様化を目的とする。
中国投資有限責任公司の特徴
・2007年6月、30億ドルでブラックストーン・グループの株式約9.37%を取得した。
・2007年12月、50億ドルでモルガンスタンレーの株式約9.9%を取得した。
・2010年、資産運用規模は3000億ドルに膨らんだ模様。
・2011年、福島第一原子力発電所事故の際に東京電力に投資していた中国投資が損失を被ったと報道があった。
・2015年、ほぼ株主に名を連ねなくなるも日本三大メガバンクの大株主であるバンクオブニューヨークなど複数の名義による分散などが推測された。
・2015年、森トラストから目黒雅叙園が米ファンドに買収された際は資金の9割が中国投資から出ていた。
・2017年、アメリカ合衆国大統領のドナルド・トランプの訪中にあわせ、ゴールドマン・サックスと米国の製造業などに投資する50億ドル規模の共同ファンド「米中産業協力基金」の設立合意に調印した。
クウェート投資庁(KIA)
クウェート投資とは
・1953年、石油発見後の政府の余剰資金を運用する事を目的として、クウェートの投資ファンドとして設立された。
・KIAは、「Kuwait Investment Authority」の略。
クウェート投資の特徴
・総合貯蓄ファンドとクウェート未来ファンドや他の財政大臣によって託される資金を運用する。
・石油収入の10%がクウェート未来ファンドとして運用資金に加えられる。
・KIA の役員会は財務省、エネルギー大臣、中央銀行総裁、財務次官および5人の専門家で構成され、その中で3人はどの官庁にも所属しない。
・主な投資先は、ファイナンス ハウス:24.1%、アラブ インシュランス:12.5%、ダイムラー:6.9%、シティグループ:6.0%。
・クウェート投資庁は、枯渇した資産である石油収入への依存を減らすことでクウェート経済を多様化することを目的として設立された。クウェート憲法はクウェート投資庁が投資目的で借入することを禁じており投資手段としてデリバティブ商品を使用していない。
香港金融管理局(HKMA)
香港金融管理局とは
・1993年に、外匯基金管理局(外国為替基金管理局)と銀行業監理處(銀行管理処)が合併して創設された。
・HKMAは、「Hong Kong Monetary Authority」の略。
・香港の通貨当局。外為基金の管理や、銀行など金融業に対する監督、通貨制度の維持が主な任務。
香港金融管理局の特徴
・香港の法定通貨である香港ドルは、USドルに対してペッグ(固定)されている。そのため、香港金融管理局は事実上、金融政策を実施する手段を持たない。
・アジア通貨危機後の1998年、ヘッジファンドによる香港ドルへの仕掛け売りを受けた際、香港金融管理局は外為基金を取り崩して、これを乗り切り、高く評価された。
シンガポール政府投資公社(GIC)
シンガポール政府投資公社とは
・1981年、シンガポール政府によって外貨準備を運用する為に設立されたソブリン・ウエルス・ファンドである。
・世界中の金融拠点に9ヶ所の事務所を構える。
・GICは株、債券、不動産等幅広く扱っている。
シンガポール政府投資公社の特徴
・GICは、シンガポール金融管理局(MAS)、テマセクと並んでシンガポールの外貨準備金を管理する三つの投資機関のひとつ。
・政府の金融資産の大部分を管理しており、シンガポールの国際的な購買力を維持・強化する目的で、長期的な投資活動を行っている。
・投資ポートフォリオは3つに分けられる。GICアセットマネジメントPte Ltd (公的市場)、GIC不動産Pte Ltd、GIC特殊投資Pte Ltdである。
・1996年、日本の汐留シティセンターへ投資。
・2007年、不動産部門子会社のGICリアルエステート(GICRE)が、米投資会社コロニー・キャピタルから、福岡市の複合商業施設ホークスタウンを買収。
・2008年、ウェスティンホテル東京を買収している。
・2008年、モルガンスタンレーによると運用資産は3,300億ドルであると報告。
・2009年、物流不動産大手のグローバル・ロジスティック・プロパティーズ(現GLP)を設立。
人気だったグロソブ|グローバル・ソブリン
グローバル・ソブリンとは
・1997年開始した、三菱UFJ国際投信株式会社が運用するソブリン(global sovereign)債券に分散投資して利益を得る安定運用の毎月決算型海外債券投資信託。
・グローバルソブリンは、「global sovereign」。略称は、グロソブ。
グローバル・ソブリンの歴史
・2002年以降、投資信託の純資産残高首位の座を守った。
・2008年、資産残高は約5兆8000億円まで膨らんだ。
・より高い分配金を支払う投資信託が相次いで登場したため、人気に陰りが出始め、資金流出に見舞われていて、2014年4月には純資産残高首位の座を譲っている。残高は約1兆2000億円となった。
グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)
・「グローバル・ソブリン・オープン マザーファンド」への投資を通じて、世界主要先進国の、信用力の高いソブリン債券を主要投資対象とし、国際分散投資を行う。
・FTSE世界国債インデックス(円ベース、日本を含む)をベンチマークとして運用。
・設定日:1997年12月18日
・償還日:無期限
・買付手数料:なし
・管理費用(含む信託報酬):1.375%
・設定来高値:11,686円 (1998年08月12日)
・設定来安値:4,623円 (2023年01月04日)
・決算日:2025年09月17日
・分配金:5円
・落基準:5,358円
【引用:楽天証券、2025年10月05日現在。】
・分配金が5円なら年間60円とするなら、60円÷5,358円≒1.11%で、年利1.11%となり高金利と言えるか微妙。
・管理費用(含む信託報酬)の比較について、グローバル・ソブリン・オープン:1.375%、
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):0.05775%で、管理費用が高い。
ソブリン・ウエルス・ファンド関連書籍
国家債務危機――ソブリン・クライシスに、いかに対処すべきか?
ソブリン危機の連鎖: ブラジルの財政金融政策
図解 ソブリンリスク早わかり (1時間でわかる)
誰もが「グロ・ソブ」を買う理由
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【2025年10月5日現在。引用:Wikipedia。投資は自己責任で。】