おいちょかぶ(オイチョカブ)

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おいちょかぶ(オイチョカブ)

おいちょかぶとは

・おいちょかぶ、オイチョカブ、追丁株、追帳株、追重迦烏、株。
・1から10の株札などを用いて行われるゲーム。札の数字の合計の大小や役の強弱を競う。
・トランプゲームのバカラやブラックジャックに類似する。
・8のオイチョは、ポルトガル語の8、9のカブはポルトガル語の「末端」を意味するカブに由来する。

 

ルール

ブラックジャックのように、親と子で争う博戯。
・配られた2枚または3枚の札の合計値の一の位が、カブ(9)に近いほど勝ちになる。
・賭けていた点数を勝った方が負けた方からもらえる。
・親は何人もの子を相手に戦って、子のみが張り点を決める。

 

胴前の決定

・「胴前」を協議して決める。
・「胴前」は、子が賭ける点数の最高限度のことで、「子全員の賭け点の合計」の最高限度である。

 

親決め

・山札をめくって9に近い人を親とする。
・同数の場合には札をめくり直す。
・親と子は向かい合うようにして場に座る。

 

札配り

・親が札を切り、子のひとりがカットしてから、親が配る。
・親は場札として、自分の右から左へ4枚の札を表向きに配置してから、自分用に伏せて台札を1枚置く。
・場札は、親から見て右側から「片/肩」「二番」「三番」「引き」と言う。
・子は、任意の場札を選択して、胴前に従って点数を張る。複数の場札に張ることができる。
・親は、場札の右から左に1枚ずつ裏向きで「打ち札」を配る。
・子が点数を賭けている場札には、一旦、子に打ち札を見せてから裏向きにして配る。
・子は場札と打ち札の合計数を勘案して、もう1枚決め札を引くかどうか決める。

ただし場札と打ち札の合計の一の位が
3以下の場合:もう1枚引かなくてはならない(「サンタに止めなし」)
7以上の場合:もう1枚を引くことはできない(「シチケン引きなし」「ナキナキ勝負」)
場札と打ち札がどちらも9だった場合は例外で、アラシを狙うために決め札を要求することができる。
決め札を要求するときは、「もう一丁」「いる」などと言い、いらないときは「いらない」「通(つう)」「下(しも)」などと言う。
決め札は、表向きに数を見せて配られる。
・場札+打ち札+決め札の合計に不満があっても、4枚目を引くことはできない。
・子が点数を賭けていない場札のことを「空き家」と言い、札を表向きにして、そこにも打ち札を表向きで配る。この後、決め札を配るかどうかの選択は、次に決め札が配られる場札に点数を賭けている子が行う。
・決め札の配布を場札4枚全てに行ってから、親は最初に配られた親用の場札を表向きにして打ち札を1枚加える。子と同様、さらにもう決め札を加えることもできる。
・場札と打ち札と決め札を合計して、1の位の値によって勝敗を決める。
・親が勝った場合は、子の賭けた点数は親のものになる。子が勝った場合は、子は賭けた点数と同額を得る。親と子の値が等しい場合には引き分けとなるのが普通だが、親の勝ちとするルールもある。また親子ともにブタの場合には、子の張った点数は親に没収されるというルールもある。

 

親の交代

・親の交代は、「巣立ち」と言う。
・規定回数に達した時。あるいは、胴金を失うと「潰れ」と言って、破産となる。
・胴前が倍になった時、これを「立ち」言って、親を交代する。
・親が札の合計が5以下だった時、これを「ゴケ下り」と言って、親を交代する。

 

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特殊役

クッピン(親のみ)

・9と1の2枚の組み合わせとなった場合、9が「苦」に通じるため、親の勝ちとなる。
・順序は問わないが、3枚目を引いた場合は無効。
・9→1の順序でないと成立しないローカルルールもある。

 

シッピン(子のみ)

・4と1の2枚の組み合わせとなった場合、4が「死」に通じるため、子の勝ちとなる。
・順序は問わないが、3枚目を引いた場合は無効。
・4→1の順序でないと成立しないローカルルールもある。
・シッピンとクッピンが同時に出た場合は、クッピンが優先される。

 

アラシ(親子)

・3枚の数字がすべて同じ場合、三倍勝ちとなる。
・子の場合は親のクッピン・シッピンに対しても勝つ。
・親が勝った場合は、子は張った得点の三倍を支払う。
・親子ともにアラシとなった場合は、札の合計数の一の位が大きい方の勝ちとなる。
・つまり3が3枚そろった場合が最強の組み合わせとなり、「アラシカブ」もしくは「オオアラシ」と呼ばれ、五倍勝ちとなる。
・「揃(ゾロ)」とも呼ばれる。

 

 

0~9の呼称

数字呼称他の呼称
0ブタドボン、バカ、トン、ブッツリ、ブウツウ、ブツ
1ピンイッカチ、インカチ、インケツ、インキリ、ウンケ、ウンケン、ウンスン、チンケ、チンケイ、チンコロ、ツン
2 ニゾウニタコ、ニスン
3サンタサンタコ、サンタロウ、サンズン
4ヨツヤシケ、シス、シスケ、シスン、シニ、シホウ、シゾウ、シタロ、ヨンタ、ヨンスン
5ゴケゴス、ゴスン、ナカミチ
6ロッポロッポウ、ロッケン、ロクボウ
7シチケンナナケン、ヒチケン、ナキ、ナキネ、ナキヤ、ナマ
8オイチョオイチョウ、ヤイチョ、ハッポウ、チョウベ、チョウシュウ、ハチタロウ、ボウズ
9カブカオ、カボ

 

 

故事成語

故事成語意味
一二三札は米の飯1、2、3で6なら勝てる可能性がある。
肩ピン母ちゃん質に入れても張れ場札に1があったら、そこに張るべき。
チンケに負けるブタもある1でも勝てる見込みはある。
二ぶち可愛いやゴケ勝負子が引いた3枚目の決め札が2の場合、親は5でも勝負できる。
三三六歩で引き目なし3と3で6になった時は勝ち目がない。
三太を連れて江戸見物三太は愚鈍な者をいう擬人名で、勝てる見込みがなく、お気楽な状態。
サンピン四谷に上がり目なし3と1で合計が4の場合、上がり目が少ないので、札を引かない方が得策
ゴケ勝負2枚目の時点で5の時、もう1枚引きたいところだが、あえてここでストップして勝負すればたまに勝つ場合もあるので有効な作戦である。2枚勝負なので、親の2枚目でロッポウやナキのような微妙な数だった場合、親は警戒する。親が勝負できずに3枚目を引くと裏目に出てゴケより弱くなり自滅負けすることがある。
思案六方2枚目の時点で6の時、もう1枚要求するか、このまま勝負するか迷うこと。六方とは、天地と東西南北を表すもの。
七賢引きなし7になったら、もう引くことはではない規則になっている。
七ぶちお化け子が引いた3枚目の7の場合、合計数字が上がっているか下がっているかよく分からない。
八八六方見ずに引け8、8で6の時は、もう1枚要求すべき。
法被車屋無法松8と1で9ができれば恐いものがない。怖いもの知らずの法被姿の車夫が主役の映画『無法松の一生』から。
見せカブ(表カブ)に目なし子の場札と3枚目の決め札が9ならば、たいした手ではない。
クッピンの後は山ほど張れクッピンが出た後は勝負しろ。
山越しのカブ9と1でブタの状態から、9を引くこと。

 

ブタハン(ブタ半)

3枚の札の数の合計が10あるいは20になるとブタといい、そのときだけ「ブタハン」と称して50%の寺銭をとり,他は寺銭なしの賭場もあった。